ある高校生から、「最近、数学がわからなくなってきて…」という相談を受けました。この生徒は中学生の頃から数学が得意で、困ったことはありませんでした。私はその原因が何なのかすぐに理解できたのですが、あえて言いませんでした。指導の中で自分で気づいてもらう方が良いと判断したからです。
その日は問題演習をしながら、わからない部分を丁寧に解説し、「全問しっかり解ける」ようにして指導を終えました。次の指導日には、全く同じ問題をテストしました。
生徒「先生、これって前回やった問題じゃないですか。全部解けるようになったから、もうやる必要はないんじゃ…」
私「まあ、もう一回解いてみて。なぜこの問題をもう一度解かせているのか、意味がわかるから。」
しぶしぶ問題を解き始めた生徒でしたが、私は「絶対に解けない」ことがわかっていました。
予想通り、全問不正解でした。しかも、私が解説しながら一緒に解いた問題ばかりです。その日は「よくわかった」と言って帰ったのに。
そこで、私は生徒に説明しました。
「ごめんね、実は最初から解けないことはわかっていたんだ。なぜだと思う?」
生徒は黙っていました。
「前回一緒にやった内容がわからなかった?」
「いや、それはありません。習った時は全部理解できました。」
「君が抱えている悩みはね、復習で全て解決するんだよ。」
中学生の頃はそれほど勉強しなくてもできていた数学。そこが落とし穴です。得意科目であったため「復習しなくてもできていた」というのが今の不振を招いている原因です。中学生の頃、数学が苦手だった子はなんとか食らいついていこうと日々努力していることが多いです。中学時代、数学で絶対に勝てなかった子に、いつの間にか大差をつけて勝てるようになるのが高校数学です。実際、ある高校に通う塾生が、人一倍努力を続けた結果、数学で学年1位に輝きました。最初からそんな力を持ち合わせていたわけではありません。1問1問を大切に自力で解けるように復習に励んできた成果です。一度解いた問題を自力で解けるように復習するのは必須です。成績がなかなか伸びない場合のほとんどは復習不足が原因です。
さて、次はしっかり復習してくるでしょうか?これができなければ成績が下がり続けるばかりです。できるようになれば、あっという間に力をつけることができます。
授業を受けただけでは成績は伸びません。わかっただけでは成績は伸びません。
成績が伸びるのは自力で解けるように勉強している時、自学自習をしている時です。
(大分理系専門塾WINROAD 江本)