初学者にとって、練習段階でいきなり高いレベルの実践を求めるのは、やはり難しいものです。例えば、サッカーを全く知らない人に突然ボールを渡して「試合をしろ」と言っても、ルールが分からなければボールを手で持って走ってしまうかもしれません。ルールが理解されていないままでは、サッカーではなく別の競技のようになってしまいますね。
技術や芸を習得する過程には、「守・破・離」という三段階があると言われています。これは修行の進行を示した言葉で、私もこの意味を知った時、「なるほど」と納得したのを覚えています。
「守」・・・まずは基本に忠実に、決められた型をしっかりと覚える段階。基礎を体得することが求められます。
「破」・・・基本を習得したら、応用しながら実践に移す段階。自分なりの工夫を少しずつ加えていきます。
「離」・・・型から離れ、自由な発想で自分だけのやり方を創り出していく段階です。
しかし、数学や理科などで基礎を学ぶ前から自己流にこだわる人もいます。初めのうちはそれでもある程度進めるかもしれませんが、いずれ成績の伸びが止まってしまいます。基本を踏まずに進んでしまうと、入試問題のような高度な問題に取り組んだとき、解法の手順が分からなくなってしまうのです。これは国語や英語、社会といった他の教科でも同じです。
「守」や「破」の段階で地道に基礎を築き、応用を身につけることが大切です。自由な発想や別の解法を考えるのは、それを十分にこなしたその先にあるものです。基本をしっかりと身につけてこそ、自分なりの工夫やオリジナリティが生まれてくるのだと思います。
(大分理系専門塾WINROAD 江本)