問題
密度ρ、低面積S、高さLの柱状の浮き
がある。これを、図1のように直立
させた状態で水に静かに浮かべた
ところ、水面下の長さがd\( (\leqq\dfrac{L}{2}) \)の
ところで静止した、水の密度をρ0、
重力加速度の大きさをgとする。
浮きは直立した状態のままで鉛直方向に運動し、空気の質量、浮きの運動に伴う水や空気の抵抗、
水面の変化および水の運動による影響は無視するものとして、次の文中の( )にあてはまる
式を記せ。ただし( エ )以降ではdを用いずに答えよ。
図1のように、浮きが静止しているときに。浮きに働く重力の大きさは( ア )、
浮きが水から受ける浮力の大きさは( イ )であり、これら2つが
つりあっていることから、水面下の長さdは( ウ )である。
はじめ静止していた位置(つりあいの位置)から、手で浮きをx0\( (0<x_0<d) \)だけ
押し沈めて止めた、このときの手の押す力の大きさは( エ )である。その後浮きを
静かにはなしたところ、浮きはその底面が水面から飛び出すことなく、上下に単振動を
はじめた。この振動の周期は( オ )、振動中につりあいの位置にきたときの速さは
( カ )、浮きが最も高くなる底面の位置は、水面から( キ )の深さの所である。
次に、図2のように、浮きの上面を水面と同じになるまで押し沈めて静かに離すと、
浮きは水から完全に飛び出した。このように、浮きの底面が水から完全に出る
ためには、浮きの密度がある量より小さい必要があり、その量は( ク )である。
今回用いた浮きの密度は(ク)より小さかったので、水から飛び出したあと、
水面からある高さまで上昇し(図3)、その後、水面に着水した。浮きの底面が
水面から出る瞬間の浮きの速さは( ケ )、浮きの底面が達した最大の高さは、
水面から( コ )である。また、浮きの底面が水面から出て、底面が再び着水
するまでの時間は( サ )である。
( ア ),( イ ),( ウ )
浮きに働く重力の大きさは(質量)×gなので(質量)=(体積)×(密度)=ρSL[kg]より
ρSLg[N] (ア)
浮力は押しのけた水に働く重力に等しいので
押しのけた水の体積はSdで密度はρよりρ0Sd×g=ρ0Sdg[N]
ρ0Sdg[N](イ)
\( \rho SLg=\rho_ 0Sdg \)とおくと\( d=\dfrac{\rho }{\rho_ 0}L \)
\( \dfrac{\rho}{\rho_ 0}L \)(ウ)
( エ ),( オ ),( カ ),( キ )

F+ρSLg=ρ0S(d+x0)g
F=ρ0S(d+x0)g – ρSLg=ρ0Sdg+ρ0Sx0g – ρSLg
ここで\( \rho SLg=\rho_ 0Sdg \)なので
F=ρ0Sx0g
F=ρ0Sx0g (エ)
つりあいの位置からx[m]沈んだときの浮きに働く力は下図の通り。

浮きが沈む向き(下向き)を正とすると浮きの
運動方程式F=maは
ρSLgーρ0S(d+x)g=ma
ρSLgーρ0Sdgーρ0Sxg=ma
ここでmg=ρSLg=ρ0Sdgなので
ma=ーρ0Sgx m=ρSLより
\( a=-\dfrac{\rho_0Sxg}{\rho SL}=-\dfrac{\rho_0g}{\rho L}x \)ここで
単振動における加速度は\( a=-\omega^2x \)なので\( \omega^2=\dfrac{\rho_0g}{\rho L} \)
\( \omega=\sqrt{\dfrac{\rho_0g}{\rho L}} \)
\( T=\dfrac{2\pi}\omega{}=2\pi\sqrt{\dfrac{\rho L}{\rho_0g}} \)(オ)
単振動の場合
\( x=Asin\omega t\\v=A\omega cos\omega t\\a=-A\omega^2sin\omega t=-\omega^2x \)なので
今回A =x0、\( \omega=\sqrt{\dfrac{\rho_0g}{\rho L}} \)
よって\( v_{max}=A\omega=x_0\sqrt{\dfrac{\rho_0g}{\rho L}} \)(カ)
一番上にきた時は単振動なのでつりあいの位置からx0上の位置である。
\( d-x_0=\dfrac{\rho}{\rho_0}L-x_0 \)(キ)
( ク ),( ケ ),( コ ),( サ )
浮きがL沈んだとき振動の中心(つりあいの位置)がらL-d沈んでいるので

単振動なので\( L-d\geqq d \)となれば良い
\( L\geqq2d=2\dfrac{\rho}{\rho_0}L \)よって\( L\geqq2\dfrac{\rho}{\rho_0}L \)
\( \rho\leqq\dfrac{\rho_0}{2} \)(ク)
つりあいの位置を基準としたエネルギー保存則から
\( \dfrac{1}{2}m・o^2+\dfrac{1}{2}K(L-d)^2=\dfrac{1}{2}mv^2+\dfrac{1}{2}K(-x)^2 \)
\( mv^2=k(L^2-2dL+d^2)-Kd^2\\=KL(L-2d) \)
\( K=\rho_0 Sg \)、\( m=\rho SL \)なので
\( v^2=\dfrac{KL}{m}(L-2d)=\dfrac{\rho_0SgL}{\rho SL}(L-2d)=\dfrac{\rho_0g}{\rho}(L-2\dfrac{\rho}{\rho_0}L)\\=\dfrac{\rho_0g}{\rho}(1-2\dfrac{\rho}{\rho_0})L=(\dfrac{\rho_0}{\rho}-2)gL \)
\( v=\sqrt{(\dfrac{\rho_0}{\rho}-2)gL} \)(ケ)
水面から飛び出してhの高さになったとすると
\( v^2-v_0^2=2(-g)h \)より
\( h=\dfrac{v_0^2}{2g}=\dfrac{1}{2g}(\dfrac{\rho_0}{\rho}-2)gL=(\dfrac{\rho_0}{2\rho}-1)L \)(コ)
最高点から水面までにかかる時間をtとすると
\( \dfrac{1}{2}gt^2=h \)
\( t=\sqrt{\dfrac{2h}{g}}=\sqrt{\dfrac{2}{g}(\dfrac{\rho_0}{2\rho}-1)L}=\sqrt{(\dfrac{\rho_0}{\rho}-2)\dfrac{L}{g}} \)
水面から出て再び水面に達する時間はこの2倍なので
\( 2\sqrt{(\dfrac{\rho_0}{\rho}-2)\dfrac{L}{g}} \)(サ)
(大分理系専門塾WINROAD 首藤)