計算量が多く、化学平衡や気体の法則など物理色満載？の単元が揃う理論化学。苦手意識を抱く受験生が多いのも無理はありません。ところが厄介なのは、理論化学が無機・有機の基礎骨格ともガッチリ連動している点。ここを放置すると、受験の終盤で行き詰まる――そんな“あるある”を避けるためにも、理論を正しく理解すれば強力な武器に早変わりします。

以下、学習の要点を3つに絞ってご紹介します。

1. 公式や原理は「自分の言葉」で説明できるように

理論化学では、化学平衡や電気分解などで公式・原理が次々と登場します。暗記だけで切り抜けられる問題もありますが、そのままでは難問に歯が立ちません。
教科書や授業ノートにある定義や式を、自分の言葉で言い換える習慣をつけることです。

例）「電離度」＝水に溶かした物質のうち、どれだけが電離したかを示す割合（全体の物質量に対する電離した物質量の比）
言い換える過程で曖昧さが浮き彫りになります。そこは教科書・ノートで確認し、それでも不明なら先生や友人に質問して解決しましょう。放置すると、後々つらくなっていきますよ。

タイミングは“当日中”が理想。 記憶が新鮮なうちに、白紙にその日の学びを書き出し整理すると、短時間で理解が定着します。

2. 問題演習は「基礎→典型」の順に量をこなそう

理論を腹落ちさせたら「たくさん解く」のが近道です。
ただし、いきなり難問へ突撃せず、まずは学校配布レベルの基礎計算で公式の使い方に慣れましょう。
おすすめは次のような定番問題集です。

『セミナー化学』『リードα 化学』

大分県の多くの進学校で使われている定番の学校配布の問題集ですよね？
これらの問題集を「だいたい解ける」というあいまいな状態で通過してしまうと、その後の典型問題、応用問題で苦労する割に、成長が見られないという事態に陥ってしまいます。しっかりやりこんでくださいね。

その後は典型問題へ。入試で頻出のパターンには、解法の骨法が凝縮されています。繰り返し解き、体に刻み込んでください。

『化学重要問題集』（数研出版）

この問題集はとても有名ですよね。化学が受験に必要で、高得点を取りたいならば必ずやっておきたい1冊。
理論に限らず、無機化学や有機化学にも有用です。難度は極端に高くありませんが、周回することでベネッセや河合塾などの標準的な記述模試で90点以上を狙える力がつきますよ。化学の反復は最強！！

3. 計算は「速く・正確に」（化学の試験時間は短い！）

理論化学は計算勝負の場面が多く、答えが数値のみという問題も目立ちます。
途中が合っていても最終数値が外れれば無得点――という冷徹な採点に備える必要があります。
難関大ほど計算は煩雑かつ長丁場。正確さに加え、処理速度が不可欠。
時間をかけすぎれば、他の設問が未着手のまま終了…という悲劇も。

計算力は結局、多くの問題を解くことで伸びていきます。

かけ算の順番を入れ替えて計算量を圧縮、小数を分数に直して見通しを良くする
途中で共通因数を抜いて数字を軽量化といった“省エネ”を常に考えながら計算していきましょう。

（大分理系専門塾WINROAD 江本）

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