「子どものやる気が出てから始めよう」
「本人がその気になるまで待った方がいいのではないか」
こうした言葉を、保護者の方からよく耳にします。たしかに、やる気は塾に通わせるタイミングや勉強を始める時期を考えるうえで、ひとつの判断材料に見えるかもしれません。しかし実際には、やる気が出るのを待っているうちに、時間だけが過ぎてしまうというケースは少なくありません。なかなか勉強に向かわない。入試は少しずつ近づいてくる。すると保護者の方は、次第にこう感じ始めます。
「このままで本当に大丈夫なのだろうか」
「いったいいつになったら、やる気になるのだろう」
そうして、不安と焦りだけが大きくなっていきます。
では、子どものやる気を簡単に引き出す方法はあるのでしょうか。
「目標がないからやる気が出ないのでは?」
そう考える方も多いのですが、本質はそこではありません。
近年、脳科学の研究などでも言われているのは、人は「やる気が出たから行動する」のではなく「行動するからやる気が出てくる」
ということです。
つまり、
「やる気が出てから勉強する」のではなく、
「まず勉強を始めるから、あとからやる気がついてくる」
という順番なのです。
これは、受験指導の現場でもまったく同じです。実際、多くの子どもは、勉強を始める前から高いモチベーションを持っているわけではありません。
むしろ最初は「面倒くさい」「気が乗らない」「今日はやりたくない」という状態のほうが普通です。
それでも、机に向かい、1問解く。
ワークを1ページ進める。
単語を10個だけ覚える。
そうやって少しでも行動を始めると、不思議と気持ちが切り替わっていきます。
私たちも、日々の指導の中で生徒から
「今日はやる気が出ません」
という言葉を聞くことがあります。
そんなとき、以前から一貫して伝えているのは、次のことです。
「やる気というものは、無理やりでも机について頑張っている人にしか与えられない」
やる気は、じっと待っていれば空から降ってくるものではありません。
何もしないまま「そのうち気分が乗るだろう」と考えていても、状況はなかなか変わりません。
「やる気が出るまで待つ」
「気分が乗るまで待つ」
この考え方は、一見やさしいようでいて、実はとても危険です。
なぜなら、子どもを「行動しないまま時間だけが過ぎる状態」に置いてしまうからです。
大切なのは、気分が乗っているかどうかではなく、
「気分が乗らなくても動ける力を育てること」です。
「面倒だけどやる」
「気が進まないけど始める」
「やる気はないけれど、とりあえず机に向かう」
こうした力は、受験だけでなく、その先の人生でも大きな意味を持ちます。
受験の世界でも、社会に出てからでも、結果を出す人にはある共通点があります。
それは、特別に気分が乗っている人ではなく、行動できる人だということです。
最初から強いやる気を持っていたから成功したのではありません。
まず動いた。
動きながら目標を見つけた。
行動を続ける中で、やるべきことが明確になり、力がついていった。そういう人が、結果的に前へ進んでいきます。
だからこそ、私たちは
「やる気があるかどうか」よりも、「今、行動できているかどうか」
を大切にしています。
子どものやる気を待つよりも、まずは小さくても行動させること。
その積み重ねが、やがて本当のやる気を生み、結果につながっていきます。
もし今、「うちの子はまだやる気がなくて……」
と感じておられるなら、必要なのは「やる気を待つこと」ではなく「動き出すきっかけをつくること」かもしれません。
やる気は、行動した人のところにあとからついてくるものです。
(大分理系専門塾WINROAD 江本)
