成果はある日突然、段差を越えるように表れます。どれだけ頑張っても、すぐに点数や記録に反映されない時期――いわば階段の「踊り場」があります。ここで多くの人が「自分には向いていないのかも」と手を止めてしまいますが、実際には次の伸びに必要な土台が、水面下で静かに育っている段階なのです。
たとえば数学。基礎問題集を毎日コツコツ100題、過去問も数年分こなしているのに、偏差値が思うように動かない時期があります。そこで投げ出したくなるのですが、その演習で育っているのは「解法の引き出し」と「構造を見抜く目」です。因数分解、置換、対称性、漸化式、面積比、補集合、包除原理……散らばっていた解法が、ある瞬間に一本の線でつながる。すると、整数の難問であっても「不変量を置けば崩れる」「ここは対称式に落とせる」といった具合に、問題の骨格が透けて見え、解答へのルートが自然に見えてくるようになります。結果として、模試の得点が急に跳ねたり、処理速度が一段上がったりする。前日までの演習は無駄ではなく、“臨界点”を越えるための蓄熱だったというわけです。
たとえば英語。英単語を毎日50語ずつ覚えていても、模試の点はしばらく変わらないことがあります。ところがある日、長文がスッと頭に入ってきて、設問が「読める景色」に変わる瞬間が訪れる。語彙・文法・背景知識が脳内で結びつき、回路が一本化した合図です。単語帳の地味な反復は、見えないところで確実に効いています。
成果が見えないのは、努力が消えてしまったからではありません。地中で根を広げ、ある日一気に伸びる植物のように、あなたの中でも準備は進んでいます。苦しいとき、迷うときほど思い出してください。今は「伸びない時期」ではなく「伸びる直前の段階」です。
努力は連続的に、成果は飛躍的に。――今日も一歩、淡々と積み上げていきましょう。
(大分理系専門塾WINROAD 江本)
