物理の最後の単元で登場する【原子と原子核】の分野は、入試であまり出題されない印象があるため学習する優先順位が低い。とは言っても教科書に掲載されている限り、いつ出題されてもおかしくはありません。入試で出題されないことを祈って勉強しないよりも、ちょっと頑張って勉強して入試に臨むほうがはるかに安心ですね。
【原子と原子核】の分野には比電荷の測定、ミリカンの実験、光電効果、コンプトン効果・散乱、ドブロイの波、水素原子スペクトルの規則性、半減期、ボーアの理論、放射性崩壊、核反応など難しそうな理論が目白押し。一通り学習してもよくわからないまま終わっている状態かもしれませんね。「最初から全部やるのは面倒くさい・・・」と思っている人は、まず自分の興味のある単元から触れてみてはどうでしょうか?この分野は勉強していくと面白いですよ。
今日は、この分野の最後の方で学習する【質量欠損】( mass defect )についてちょっと考えてみましょう。
質量欠損とは・・・原子核の質量は原子核を構成する核子(陽子、中性子のこと)の総和より小さい。
原子量をM、陽子( proton ) の質量を mp 中性子( neutron )の質量 mn とします。
C(炭素)質量数12 原子番号6 で考えてみると
陽子:6mp 中性子:6mn
質量の合計は 6mp + 6mn
ここで質量の差を取ると ⊿m = ( 6mp + 6mn ) - M ≠ 0
なんとも不思議なのですが「質量の差が0にならない」のです。これを質量欠損といいます。
一般に質量欠損の式は、原子番号をZ、質量数をAとおくと下記のように表せる。
質量欠損 ⊿m = Zmp + (A-Z)mn - M
さて、この欠損した質量の行方はいったい?
ここで登場するのが、20世紀最高の物理学者アインシュタインが提唱した相対性理論である。
質量とエネルギーの等価性 E = mc2
欠損した質量分のエネルギー⊿mc2 として放出されたと考えたのです。
つまり、核子(陽子、中性子のこと)が単独で存在するよりも原子核(陽子と中性子が集まってできているもの)として存在する方が安定しているということが結論づけられる。
ざっと書いてみました。教科書や資料集をよく読んで理解しておいてくださいね。
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