「尊重」と「放置」

2014.6.23|ウインロード通信

最近、保護者の方とお話をさせていただいて、つくづく考えてしまうことがありました。

それは「尊重」と「放置」は違う、ということです。

「勉強のことは子どもに任せています」

これは、「子どもの意思を尊重している」のでしょうか、それとも、「子どもを放置している」のでしょうか。

 

子どもの意思を尊重し、最終的な判断を本人の意思に任せることは、とても素晴らしいことだと思います。子どもといえども、一人の立派な人間なわけで、親の要求を強制的に押し付けるのは良くないでしょう。ただ、学校や勉強のことをすべて子ども任せにしても良いのでしょうか。本人の人生だからと任せてしまうことが本当に良いことなのでしょうか。

 

私の意見は「No」です。

 

皆さんは、お子さんが「遊びたいから、友達の家に泊まる」と言ったとき「子どもに任せる」と、本人の意思を尊重するでしょうか。

あるいは大学や高校を卒業したお子さんが、「働きたくない」と言ったときはどうでしょうか。

すべて駄目だと答えるのではないでしょうか。

 

しかし、普段は「あなたに任せる/あなた次第だ」と言っているにもかかわらず、親の都合が悪いときだけ「それはダメだ!」と否定されたお子さんはどのように感じるでしょうか。

子どもにしてみれば、「任せると言われたから自分で決めたのに、結局反対された」となり、今後、保護者の方の言葉を信用できなくなるかも知れません。そうなるとこれまで自由にさせてきたことは全て逆効果になります。

彼らの言い分は、親の言うことは矛盾している、というわけです。

自分の要求がおかしいとは思いません。なぜならこれまでもそれが許されてきたからです。

これは果たして子どもの責任でしょうか。

 

古今東西、どんなコミュニティーでもルールというものは必ず存在します。

学校の規則、会社の規定、国の法律など、もしルールがなければ、個人のモラルの程度によって変わるため、秩序が乱れ、混乱をきたします。

したがって、最も基本にして最小のコミュニティーである家庭内においても、ルールは必要ではないでしょうか。
この場合の家庭内でのルールとは、子どもを支配するためのものではありません。あくまでも子ども任せにできない下限の基準を決めるということです。

 

・どこまでするかという上限の基準は子どもが決める

・何をしてはいけないかという下限基準は親が決める

 

上限の基準とは、例えば「~高校・~大学へ行きたい」「テストで学年○位になりたい」など、自分が向上するための目標などのことです。これは子ども本人に決めさせるべきです。「今度のテストで○点獲りなさい」などと言って、親が決めると、子どもは「親の言いなり」にしか行動できなくなり、自分の意思が尊重されないことで自信を失ってしまいます。教育熱心なお母様に多いように思います。この場合は熱心さが裏目に出てしまう、ということになります。

 

一方、下限の基準とは、「最低限、これはしてほしい」「これはしないでほしい」というようなことです。これは保護者がしっかりと決めてほしいところです。ここまでは許すという基準を決めないと、子どもは堕落の一方です。当たり前の話です。子どもは「判断力が未熟」だから子どもなのです。その判断力が未熟な子どもに全て選ばせたら、厳しさから逃げて、楽しいこと、楽なことに染まるのは当然のことでしょう。だからこそ、「遅刻・欠席は絶対にしない」「挨拶だけはきちんとする」や「宿題をきちんと出す」「学校や塾は休まずに行かせる」など、これだけは守らせるということを決めてほしいと思います。

下限の基準をお持ちの保護者の方は、ご家庭できちんとお子さんと向き合ってる場合が多いように思います。「ここから先は、あなたに任せます」というラインがしっかりと家族で話されて決まっているので、お子さんの意思がきちんと尊重され、のびのびと自分の目標や夢に向かって行動しています。

 

これまでのウインロードの成績上位の生徒を見ていても、基本的に本人に判断を任せていても、私たちには相談にこられて、選択肢は用意してあげた上で、その判断を見守りつつ、アドバイスは欠かさないようにしておられました。きちんと、お子さんと向き合ってコミュニケーションをされているということです。
こうして育てられたお子さんは、精神的にも成績的にも安定しているように思います。

共通するのはどちらも「子どもに判断を任せている」とおっしゃる点です。

あたたかく見守る「尊重」なのか無責任な「放置」なのか。

同じ「子どもに任せている」と言っても結果が180度違うのです。

 

私たちは保護者の方以外で子どもたちと接する数少ない大人として、彼らにルールを守ることの大切さも教えなければならないと思います。ルールはある面では「制約」であり、「束縛」でもありますが、第一に「自分の生命や財産を守るための防御」でもあります。

子どもの教育に対して、皆さんのご家庭には「下限基準」がきちんとありますか?

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